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『紫式部日記』(池田亀鑑 秋山虔校注 岩波文庫)

 昨夜、石田衣良が芸人、学者を交えて紫式部について話をしていたが、彼女は、自らの生い立ちに複雑な思いを持っていて、自らを卑下し、いわばいじけた少女時代を送った、という。というのも、家は代々知的な役柄をこなす家系で、父がふと彼女が男に生まれてくれば、と漏らしたことがあったらしい。

 その為に、彼女は家から見捨てられている。という想いが募り、もとより聡明な彼女は家にあった豊富な文献を読み漁り、女性にしては豊かな教養を身に付けた、という。

 そうしたなかで、父を象徴とする権威、家父長制に対する反抗、愚痴、つげ口、あるいは将来に対する夢、不安、恐怖を日記にしていた。しかも、発覚を嫌い、文は匿名、擬人化された感情、架空の男、女、人、果ては動植物までを語り手にした。(まるでは賢治ではないか!)

 その結果、書かれたものは客観化され、書かれてゆくプロセスによって、自我が「消えたたんじゃないでしょーか」と石田はいう。石田は、このことが近代になってからの「小説」と同等であり、現在も人々に読まれる理由ではないかという。

 『源氏物語』にも、挑戦したくなった本であった。TVも、面白い。



by ihatobo | 2019-07-12 10:17