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『ペット・サウンズ』(ジム・フリージ 村上春樹・訳 2008年 新潮文庫)

 前回紹介した村上春樹さんの小説についての論考に続き、今回は彼が翻訳した“サーフィン・ロック”と呼ばれた60年代アメリカン・ポップスの主人公、ビーチ・ボーイ/ブライアン・ウィルソンの自らのバンド(サウンド)についての考察。

取材、編集したのは小学生の頃に、このバンドのサウンドを聞いたというジム・フリージさん。訳者の村上は、ブライアンについてのブルース・ジョンストンの発言

―― 今日に至っても、ブライアンは自分が、どれくらい素晴らしいかということが、まだよく分っていないじゃないかな。彼は言うならば、鏡のない家に育ったケリー・グラントみたいなものなのだ。――

 に親しみを感じていることを、訳者あとがきで、わざわざ書き記している。

 つまり、そのように自分も自分のことが分からない。しかし、関心があるから小説を書いているのだ、とこの場で訴えているのではないか、と私は考えるのだ。そう考えると、村上の孤独な主人公の行伏が、理解できる。

 本書著者、ジム・フリージも孤独な人なのかも知れない。


by ihatobo | 2019-06-07 09:40