『河合隼雄スペシャル』(河合俊雄NHK 100分de名著テキスト)

 本書はTV番組のテキストだが、語学ではなく心理療法家、河合の著作を紹介する番組の副読本。

喫茶店を生業としている私は、友人で医師の熊野宏昭に、日々の対人(客)トラブルを相談しているうちに、彼のいうことに何か背景があるに違いないと考え、その他の事柄についてもレクチャーをしてもらうことになった。

彼は院生の時分に店を手伝ってくれていたこともあり、店での客あしらいがどんなものなのか、見当がついていたこともあり、自然に彼の講演が実現することになった。そこで私も学生時代に、雑誌社でアルバイトをしていたので、そのレクチャーを自主本にして残そうと思い立った。

当店の自主本(1987年)は熊野の協力によって始まった、といえる。この本は、今も、お店の運営に役立っている。本には載っていないが、熊野の勧める本の中に、「心理療法家は自分の弱いところで(クラアントと)勝負している」という意味の記述があり、私にヒットした。

 他にも『昔話の深層』では、この装丁が友人でもある鈴木コージの絵が表紙を飾っており、ますます親近感を持ったのである。

 さて本書は、4回分に章立てられており、昨夜2回分「人間の根源とイメージ」が終ったところで、語学はリアルタイムで内容を実践しつつ記憶してゆくのが本来だが、本書の場合いは、論考を支える用語を知っておかないと、観ていただけでは頭に入ってこない。

 その意味でもテキストがあると便利で、特にその用語を簡単に解説する脚注が乗っているのが分りやすい。

 第一回目が総論になっていて、医師の基本的対度とその必然性、昨日が「根源」と「イメージ」という用語を詳しく解説すると共に、自分の人生に対応させて読むと、大変魅力的な記述が溢れており、「心理療法」のガイドのなか、人間の存在の仕組みのガイドなのか、分らなくなるほどに説得力がある記述が続く。

 次第三回が河合の作品にあたる「昔話」と神話、そして、その人間にとっての必然性が「深層」として述べられている。最後に、そんな人間である「私」に戻って第一回の総論に戻る、という構成。(「私」とは何か)

 とにかく、遂一読み込んだら、膨大な量の情報が詰め込まれている。本書を手に取って見て下さい。

 きっと役に立つコトバに、出会えると私は思います。


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by ihatobo | 2018-07-13 10:17