『ナラタージュ』(島本理生 角川書店 2005年)

 私は、恋愛小説を好きかも知れない、と思わせる作品だった。恋愛小説では、当然、青春群像劇にならざるを得ないが、それらの群像は主人公二人の関係の進展に必要なわけだから、そこは飛ばして読んだ。『博士の愛した数式』(本ブログの初回で紹介)の小川洋子さんが、帯にコメントを寄せているように、本作は純愛小説である。

 以前紹介したTV番組『運命に、似た恋』の原作は、事実は映してゆくという書き方で、感傷の入り込む余地はなかったが、本作は感傷が重視されているが、決して「甘く」はなく、とても巧妙に造られている。読後が、その為に意外とさっぱりしていた。

 どちらにしても、男女の愛を扱ったからだろうか。本作では投身や暴力、殴打、カップルの誕生や別離と、激しいイベントが次々に二人に訪れるものの、彼らの抱く愛は変わらない。

 その意味で愛は強いと改めて感じたし、本作を恋の手引書として読むのも、可能だと思う。若者よ、心を開いて、まず恋を見つけよう、と言っているように思った。と、ここまで書き上げた朝に、 TVに『運命に、似た恋』の主演・原田知世が出演していた。これも運命だろうか…


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by ihatobo | 2018-06-22 09:30