『未来を拓く君たちへ』(池上彰 日本経済新聞社 4月 18年)

 梅にウグイス、山ホトトキス、初カツオが順番だが、どことなくチグハグな今年の初夏であったが、このところ連日夏日が続いている。どうも、変な天候である。

 著者は、長く報道記者としてTV、ラジオで活躍したが、その後『週刊こどもニュース』で解説役を務め、生活情報を含め社会全般で起きる様々な事象を扱って、ニュース番組を興味の湧くものにした。しかも、その扱い方が公平で客観的であったために、その姿勢に評価が集まった。

 本書は新聞に連載された「大岡山通信」の書籍化。紙面が大学面であるために、講義録のような体裁だが、権威を振りかざす事もなく、伝えるべき事柄を簡潔に述べていて清々しい。刻々と変化する国際情勢についても、自らデータを集め、自分のコトバで把握するように書かれている。

 各々、要点を得た解説、指摘で、私でも理解できる。知っていたコトバでも、文脈を背景にしての記述だから分りやすい。彼は理解の為に、基本的な文献を読んでおくように、本書で繰り返している。

学校を出るほどの年代ならば、社会で実際に使われているコトバの意味を、知らなければならない。

たとえば、「経済」とか「文化」とか、その「社会」とか。「経済」は、もともと「経世済民」で、辞書によると“国をおさめ、民を救うこと”とある。私たちの知るのは、どちらかといえば、「政治」に近い、と思うが、近代になってそこから専門化したのだろう。

 ともあれ、時季が少し遅いが、新入生、新社会人には、オススメの本である。


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by ihatobo | 2018-06-08 08:33