『コリン・ウィルソン音楽を語る』その2(河野 徹・訳 富山房 1964、67→1970年)

 ジャズについて述べられたあと、第7章はディーリアスという作曲家について書いてゆくのだが、ここでも、文芸作品と比較しての立論になっている。文芸作品は小説もあるのだが、大半が詩、評論で、ジョイスの『ユリーズ』や戯曲もあり、全体としては散文。

シェークストピア『テンペスト』の他、戯曲もあり、ラブレーやディケンズなど故国の大御所たちが並ぶ。


 本書著者のコリン・ウィルソンの真面目、几帳面さが全体に出ていて安心が出来る。前半に「ロマン派」から「現代音楽」へ、いきなり跳ぶのだが、それはいわば布石であって、上記の第
6章を曲がり角として最終章「アメリカの音楽」で結ばれる。

要は、本書が描かれた1962年時点でのモダーン期の発展を追った歴史書である。もっと端的に言えば、ポップス(ポピュラー音楽)の源泉を探しての歴史書ともいえると、私は思った。

その最終章は未読だが、ジョン・ケージについての記述もあり興味深い。また次回に、詳しく読んでみたい。そのなかで、コリンは「歴史」のコトバ「発展」のコトバを使っているが、現在から眺めれば、「洗練」とか「地域」を使った方が、より広範な論が出来ると思った。


 ともあれ音楽好きには、必読な書であることに変わりない。

 彼は、実在を求めている。


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by ihatobo | 2017-09-08 09:59