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『生命と物質』その2

 この本で、もうひとつ学んだことは、ダイナミックで複雑な生命の現象と音楽という、ヒトが作り出した事象との比較、分析を目指したことである。
 もっとも、この方向は失敗に終わり端的にいえば、楽譜に写された音楽を分析することで、本は出来た。私個人は、いくつかの概念を考えたが、いずれも、もうひとりの編集者を説得できなかった。あとで考えれば、それは当然で、音楽に関するといっても、私たちは本を作っていたのであって、音楽を作っていったわけではない。
 そうした過程を経て、もうひとりの編集者は、その後『ビートルズの作り方』という本を作った。私はと言えば、ある音源を見極めて、それをある秩序(歴史、音色など)によって組み立てる、というコンパイル、つまり店で流すCD、レコードを選曲する、という作業に軸を移した。
 それによって、かける音源の数が飛躍的に増えることになった。(つづく)

by ihatobo | 2016-05-19 09:46