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『ロリータ2』

 第二部を読み切った。
 いよいよ鮮明になったことは、著者が精神分析(学)に並々ならぬ関心を寄せた、ということである。精神分析には「転移」という用語があるが、著者の記述を見ると誤用ではないが、大変大雑把にそれを捉えているのが分かり、既に一般化した概念として使っている。

 そんな点を見ても、本作がある種の概念小説であることは確かである。その概念の枠内で、自由に想像力を羽ばたかせたのである。そうした事情から、本書の取り巻き達が似た用語を作り上げ、「ロリコン」が誕生したのだろう。
 ちなみに、このコンプレックスは入り組んでいて複雑という意味だから、単純に少女偏愛を「ロリコン」としてはやはり間違いで、少女についてごく普通の観念が持てない事を、本来コンプレキシティとして症例化したに過ぎない。少女趣味とは違うのである。

 さて、もう一度元に戻って、巻頭から読んでみよう。それにしても、今日近所でウグイスが鳴いている。変な春?である。

by ihatobo | 2016-04-18 22:02