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『生存教室』その2 内田 樹、光岡 英念 (集英社新書 2016年)

 本書後半は、武術家は、その伝承・伝達に関して芸の伝承・伝達の書である風姿花伝に触れながら、私たちのコトバである日本語の成り立ちの事情について言及する。
 片や思想家の博識は、自らの思索から気、精、神の文字を通して心と情の区別を述べる。その言説の助けを借りて、光岡は精神と肉体のコトバを知る。
 それは普通、私たちが “ 精神は健全な肉体に宿る” と言って理解している文脈で、おふたりは、このフレーズへの批判と、逆に裏付けをも与えている。ともあれ、こうした私たちが普通に使っているコトバを扱うようになると、例の自己言及性のワナにハマってしまう。

 最終的には、日本古来のコトバの表わそうとしたイメージに、辿り着いて対論は終わる。フゥー。
 本書の題材になった、『生存教室』も読んでみようと思う。

by ihatobo | 2016-02-04 18:01