人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Shadow Im The Night BOB DYLAN (sony music 88875057962 2015年)

 前評判の良かったボブ・ディランの新譜である。ジョアンについても、そろそろ一言書いておかねば、と思い“ギターと声”を前回紹介したが、私が思い出していたのは“イエスタデー”(ビートルズ 1967年)の歌詞であった。

       ――彼女は(ボクのもとを去って)行ってしまった
                   きっとボクがヘマをやったのだろう――

 誰しも思い当たる文言である。しかし、そこはレノン=マッカートニ “昨日を信じよう” とリフレインする。
 そのリフレインも聞いているうちに、いじけた逃げ口上が反転し、その昨日だけを思ってこれからを立て直そう、という風に聞こえてくる。明るい。基本的にビートルズは明るい。
 さて、明るい希望が持てるかと言えば “ギターと声” も “夜の影” も暗い。しかし、希望もないかと言えば、どちらのアルバムにも希望が感じられる。異国のコトバだから、という事もあるだろうが語学能力を越えて、これからは明るく私には記憶されるだろう。
 私たちの日常語では、分からなくてもいいところの意味を、受け取ってしまうキライがある。というところで、現役の大御所たちがロマン(物語)性へ回帰しているのは、意味のあることだ、と私は考えている。では、どういう意味があるのだと言われれば、即答できないのだが・・・
 それにしても、夜の影とは意味シンである。

by ihatobo | 2015-05-29 18:52