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『「進化論」を書き換える』(池田清彦)と『ネコはどうしてわがままか』(日高 敏隆)

 『ネコをめぐる世界』(日高 敏隆)の回でも述べたが、猫自体は衣食住は全て事足りている。だから、彼らを取り巻くすべての事象の変化に応じて彼らは彼らなりに取り込み、あるいは時に環境に対して主張を展開して、子孫を増やしてきた。
 彼らは一貫してわがままだが、オス猫もメス猫も自らの子孫が含まれる種全体と、その歴史に対して、誠実である。それと同様に生物進化の全体と、その歴史に対して、生物(植物、昆虫、バクテリアなどの微生物)も自らに誠実に生きている。

 今西錦司は“ヒトは立つべくして立った”のコトバを残したが、“長い歴史において、(その)プロセスで大きな形態変化”が生じるのは長い時間が、それに比べれば、ほんのわずかの時間に疑縮されて起こるから、それは再び “卵が先か、ニワトリが先か”という矛盾律にハマり込む。本書あとがきで著者は、そう述べる。
 今西のコトバ通り、真実は確実にあり、だがしかし、それを記述するには、進化と同じぐらいの時間を要する、ということだ。

 本来、科学は真実を明らかにするものだが、のんびりやらないと、また元のモクアミに拡散してしまう。
 寄って来るから油断して相手をしていても、サッサと走り去ってゆく猫と同じ、マイペースが丁度いい。

by ihatobo | 2015-05-08 21:05