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『私の個人主義』(夏目漱石)

 久しぶりに、ビートルス・アンソロジーの第一巻を聴いた。アンソロジーは本で言えば、全集である。
 近代(世界)化した“日本”文化が、では一体、世界の文のどの位置にいるのかを探ろうとした出版社が、積極的に古今の文を集め、読んだ。
 それらが、いつしか教義として読まれれば、という規模になってしまった。現在でも、それは繰り返され、これが今の時代の規範とばかりに出版されている。
 『私の個人主義』(夏目漱石 講談社学術文庫 78年再版)には、本当の意味の教養は「自分」を探る情熱(パション)に支えられて初めて身に収まるという事を、繰り返し聴衆に訴えた講義録である。講談師となった漱石がタテ板にミズとばかり本当の「個人主義」を披露している。

 哀しいと言えば哀しい、嬉しいと言えば嬉しくなる快記録である。
 その熱弁は、人生・宗教まで伸びてゆく・・・

by ihatobo | 2015-01-29 17:51