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『ジャズ、来るべき姿 the shapeg jazz to com』

 20歳前後に、既にハイライトを吹かしていた私も、いつかはタバコやめなきゃと分かっていたが、禁煙を決意したことは一度もない。ところが、最近になって辞めなきゃと思って吸っていたタバコが美味しいのである。
 その期間、意識と実際のギャップに思いを駆せることが多かったが、この年まで生きていると身近な方々が次々と亡くなり、ガンでさあと潰された人々は囁き合うのだが、胃にしろ肺でも肝臓、心臓であっても吸ってやるやつも死ぬし、吸わないやつも死ぬ。喫煙とそうでない人の別はないのだ。
 つまり、それは何者かの呪いだったのである。呪いが解ければ、見事もとの人間に戻るのだが、その呪い期間は、どこが始まりでどこまで続いてのかを考えてみると何らかの印象は残っているのが、その体験がなんだったのか、説明ができない。
 そうした体験はジャズ・レコードを聴いている時によく起こる。
 ジャズをモーダン(近代)化したのはチャーリー・パーカーだが、それを革新したのはオーネット・コールマンである。
 特に彼の演奏を聴いていると、上述のように何が体験されたのか説明するのは難しい。
 『ジャズ、来るべき姿』(1959年)は、よく「フリー・ジャズ」の名演といわれ、「フリー・ジャズ」って何だ?といわれてきたが、その盤こそ何だったのか自分では説明できない。
 再び、今となってみれば説明ではない解説ができるのだが、この盤ほど、真当に耳を傾けるものを、揺さぶる盤はない。つまり、名演である。
 モンクやロリンズ、マイルスやミンガスが近代(モーダン)ジャズであるが故にジャズ(ベイシーやエリントンらのプレ・モーダン期のジャズ)だったり得ためと同じげある。
 この盤が鳴り始めると、ジャズの豊かな時刻がいつも流れる。まるで呪いを解かれてように、自由がやってくる。
 自由であっても、演奏が終わってしまえば、もともとの「みにくいアヒルの子」に戻るのだが…
 次回に、続く。

by ihatobo | 2014-12-12 12:08