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Jules et Jim その2

 本書のあとがきで、訳者、伊東守男が伝えるように、著者は「欧米独特のディレッタントの生涯を送っていたらしいが、1953年、つまり作者74才のとき初めて長篇小説を物にした。それが本書に他ならない」
 と、いう。ディレッタントは辞典によると「文学、美術の愛好家」とある。丁度、私のことである。いわゆる好事(こうず)家、町内のウルサ方である。
 伊東は欧米独特と端折っているが、武装解除された当時の上流階級である武士、教養に通じた僧、出島の大店(おおたな)商人は、より直接に物品を扱い、医術(学)を習得し、生産し、流通させていた。
 だから、本書の著者が、人生の大半を好事家として過ごし、「そろそろ時間がなくなってきたな」と、晩年“漢字学”三部作を私たちに残し、92才で亡った白河静を想えば、さもありなん、である。
 しかし、白川先生は現在の漢字圏で、紛れもなく一番漢字を識る存在である。
 話は戻るが、前述の寂聴氏も現在同じ年齢で健在。先回触れたJ・L・ゴダールも新作を造り続け、同年齢である。

by ihatobo | 2014-08-08 00:36