『フロム・ゲインズブール・トゥ・ルル』が良い
「暑さ」が終わるはずの9月には当店が“逆”プロモーションもしたジョー・ヘンリー、ベイルートが相次いで新作を出した。お客様から知らせを受けてスグにレコード店へ問い合わせたが、2か月程入荷しなかった。The Rip Tide(ポンペイ)は、私の初の試み、スタッフに頼んでアマゾンで買ってもらった。
店主は相変わらず店頭買いしかしない。商品を手に取った時の佇まいがいいのだ。というより、それが普通だと考えている。
ジョー・ヘンリーのreverie(Anti)は前作に続いて限りなく日本におけるポップス(歌謡曲)に近づいて「英語だけどよく分った」だから好みではないが、この方向で大歌手たちがアルバムを造ったらどうだろうと思った。(前から試みはしている)
そうした文脈でベイルートは限りなくYMOに近づいている(笑)。
来日公演が終わったばかりのキップ・ハンラハンも第一作から追い続けているが、新作At home in Angerは久々に生々とした息吹を感じた。
その第一作Coup de tete(81年)にコメントを寄せたボブ・ブラメンサルは、それを「隣人たちの音楽」と呼んでいるが、キップが以来「伝統的な抒情詩と物語」を糧として30年を過ごし、その灰暗い過去を現実の溢れるリズムで奏で続けているのを私は好ましく思っている。(当店の100枚のアルバムには彼のDeep rumba ewac-1036、96年と02年のシルバーナ・デルイジYo! Ewac-1025が入っている。とても良いです)
ところで今回のイチ押しはセルジュ・ゲインズブールの末男ルル・ゲインズブールの「フロム・ゲインズブール・トゥ・ルル」(ユニバーサルUCLL1206)。彼はあのバンブーとの子で彼女の「メイド・イン・チャイナ」のカバーで抱かれていたルルということです。これがもの凄く良い。多少取り散らかっているものの潔さがみなぎっていて嬉しくさせてくれる。
このアルバムも既に当店の新譜セレクターであるKさんに教えられた。彼は当店34年のうちの33年間を通ってきてくれる。
by ihatobo | 2011-12-17 22:10