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『ネコたちをめぐる世界』その2(日高敏隆 1972→89年 小学館)

 三寒四温のくり返しのあと、投々と温が5、寒が2という具合になってますが、鼻炎、風邪などに敗けず、当店は盛り上がっております(笑)。盛り上がるのは嬉しいことですが、盛り上がりすぎて私が宙に浮いてしまったのか、本ブログの原稿を失ってしまった。(手書き原稿を。私はパソコンに入力が出来ない)
 で、今回は本に入れたエンピツを頼りに覚えている限りで新稿を描いている。本書のポイントは、特に“女”性には異論があると思うが、本文に、その文字で書かれているので本の紹介を旨にしている限り、あえて三か所を紹介する。

――(・・・)オスネコのほうへ近寄ってゆく。まさに惚れた女、そのものの姿であった。(55P)

――ニャアニャア泣いて不満を、表明すればいいのである。わがままな女とまったく同じである。(106P)

――これまた、女によくある だらしなさをネコがもっている(・・・)(106P)

 以上の三か所だけだが(・・・)。
 とにかく、そうしたトピックスは棚に上げて、大変に面白い本である。(またも、つづく)
 ヒトを含む生き物に対する限りない慈しみが、ヒシヒシと伝わってきて、元気をくれる本である。
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by ihatobo | 2015-03-25 09:49

『ネコたちをめぐる世界』(日高敏隆 小学館 1989年)

 又吉さんの「火花」を読んでいる。
 小説として優等生すぎるという厳しい主張もあるが、作品ひとつを仕上げるのは、並大抵な努力では済まない。もっと素直に褒めたらいいのに、と思う。読みもしないうちから言うのもなんだが、作品は読まれてナンボである。(いわゆる、ツカミで掴まっている私。笑)
 その文学的評価は、作家の知ったこっちゃない。その評価が良くても悪くても自身が精進すればいいだけのことだ。作家は、そうやって生計を立てている。彼の本業・タレント業にしたって、風評を気にしていたら、すぐに置いて分れる。
 さぁ、もう少しで読み終わる。(またも続く。2回目・笑)
 さて、今回もう一冊、日高敏隆(『昆虫という世界』朝日文庫73→92年、で紹介した)の『ネコたちをめぐる世界』は、私にとっての愛おしい存在である猫たちが、見ている私を含む世界を描いている。
 ネコの歴史(進化)、鳥との比較による世界観、そして各々の餌食の在り方、相違。食順、生活圏の設定、性差など私の気持ちは、著しく同調する。
 さて、本書のツカミ「火花」と話芸の鍛錬で飛ぶ「火花」は、どこで結びつくのか。
 楽しみである。
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by ihatobo | 2015-03-23 17:31

『セレンディ ピティの時代』(茂木健一郎 講談社 現代新書)

 谷口ジロー『歩く人』(小学館)のところで触れたのだが、「セレンディ ピティ」という単語があり、どの意味か分からず辞書を開いたものの、綴りが分からない。(苦笑)
 その時に、この『歩く人』を私に教えてくれた友人が、“強いて訳せば直観力”と教えてくれたが、それでも分からない。(苦笑)
 そこへ、丁度いい“セレンディ ピティ”をタイトルにしたのが本書である。“脳科学”を提唱している茂木健一郎の、09年の新刊である。
 電車で読むには恥ずかしい章はイラストで、それに対応する短文が添えられている。その文が、いわゆるキワモノで、新しい宗教本、中学生向けの哲学本、カルチャーセンターのパンフレット、自己啓発本・・・という具合で、人目を気にしながら読む本である。しかし、偶然を「操作」するには、このぐらいクサクないと偶然は自然に普通にやってこない。
 著者は、あとがきで「セレンディ ピティ」を、もう一度、いい直している。

―― 偶然の 幸運に 出会う能力 (・・・)を生かすための さまざま方法 について考え(・・・)て来た。――

 という。偶然は偶然であって、それ以外ではないのだが、すぐに「幸運」という言葉と結び付けて文を構成してしまう。ここにまず飛躍がある。そして、出会う。というもの、それ以外にイミはないのだが、「能力」と続けてしまう。・・・という具合。
 さて今回は、その堂々めぐりに付き合ってロリンズの「アルフィー」を聞いた。今回 初めて、その歌詞(映画のサウンド・トラックとしてロリンスが演奏した)を読んで驚いた。
 
――大いなる存在を/神を否定する人さえ/信じられる何かを――

 と。これこそ本書のいう「セレンディ ピティ」である。本書では、大いなる存在のところが大いなる木になっているが、ニーテェを引き合いに出しながら「神は死んだ!」(『悦ばしき知識』1882-1887年)の後は、生身の人間が、ひとりひとり自分の神を造り上げなければならなかった訳だが、著者は、この本で自分にとってカミは「セレンディ ピティ」である。と言っているようである。
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by ihatobo | 2015-03-20 10:07

『さびしい宝石』 パトリック・モディアノ

 梅・桜・桃の順番だから・・・と心の内で数えているうちに、“三寒・四温” “ひと雨ごとに、春近づく” に季節は移っている。
 沈丁花もほころび、桜、間近かである。
 各々の「文学賞」も、何月何日に受賞者が発表されるのだが、季節と同じで定例。毎年、受賞者名が公表される。春が来たから、何だ、という素直じゃない者がいるように、賞を獲ったら偉い。というものでもない。毎年、必ず春はやってくるのだから。

 読んだことも、名すら知らないでいたパトリック・モディアノ。昨年のノーベル文学賞の受賞者である。彼の作品『さびしい宝石』を読んだ。面白いし、本質的である。としてみると、賞は、未知の読者に作品を届ける為の宣伝である。私にとってみれば。
 本書の内容は、主人公の叔父が、作家であり、数多くの作品を残して自死。主人公は、そこに登場する人物のモデルと覚しき人物を尋ね歩き、自死の理由を探る。その構成が大変面白い物語を紡ぎだす。
 特に叔父の愛人、情婦、元妻ら女性の語る記憶が、墟々実々でミステリアス。そうやって叔父を探っていくうちに、作者自身が彼になり代わって、物語作家として成功してしまう。という仏現代社会の作風を踏襲している。問題は、自らの歴史と叙情なのである。
 次は、アーネスト・ゲバラの『モーター・リサイクル・ダイアリー』である。
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by ihatobo | 2015-03-13 22:20

『おわり』(田附 勝 ―写真集―)

 コレは、私たちの店にピッタリと書いたザーズ(ZAZ)の新譜『PARIS―私のパリ―』だが、まだレコード屋に行ってない。「恐怖(で自由に表現できない社会)を強いようとしている人たちに屈してはならない」と強い眼差しで語るザーズだが・・・
 最近は、たくさん買ってきたビートルズの未発表・別バージョンを聞いている。あの曲が、こうもやれたのかと、これも前回と同じ言い回しの感想が、頭に渦巻く。
 それはそうでチャーリー・パーカーにしても、当たり前に違うバージョンで同じ曲を吹いている。録音は60年以上前である。そんなモンなのだ。今日はザ・バンドの『ラスト・ワルツ』(76年)を買ってきた。あぁー、あの名演が、ライブだとこーなるのか・・・も同じこと。ライブの別バージョンとは、語義矛盾だが、もしツアーを回っていれば・・・となる。ディランはそのループを繰り返していて、元気だし。
 さて、そういう堂々めぐりを断ち切るべく、又吉の『花火』を買いに出かけたが「3月11日、あと一週間です」と店員はいう。何のわだかりもなく3.11と発語されると、ちょっと頭が止まる。にしても、楽しみである。滅多にない新刊、初版である。

 さて、(2回目・笑)そうこうしている内に田附 勝の3冊目「終わり」の発表展覧会が開かれている(3月7日~4月17日まで 六本木じゃラリー・サイド2 tel 03-6277-6703)
 彼が写してきた鹿たち。その鹿を獲って生計を立ててきた猟師たち。彼らは3.11を機に山へ入るのをやめ、猟銃を警察へ「返し」た。生計を立てるための道具でも、人に向けて撃てば人は死の危険にさらされる。それ故に銃は所轄警察に届け出、登録する手続きを、この国では義務としている。
 銃そのものではなく、登録を抹消することを「返す」という。田附は、その生活の道具を撮った作品を今回展示する。作品は機重にも、各々に哀しい。田附のいいところを収めた作品たちである。鹿は、滑走路に入れば、普通、追い払うだけだから。
 撃ち殺して生計を立てるか、追い払っては生計が立たない。前作『その血は、まだ赤いか』では、集音ヘッドホンをして身を潜める姿もあって哀しい。
 その悲喜が、猟銃に映っている。良い。
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by ihatobo | 2015-03-06 18:43

『火花』(又吉直樹 文芸春秋)

 芸人ピース・又吉、作家、又吉直樹の初作品『火花』が、五大文芸誌『文芸会』に発表されて、三ヶ月、単行本として販売された。
 その掲載誌は1933年創刊の老舗。そして、その創刊80年余りの間、増刷されたのは今回初めて、という大ヒット。それ故に、普通、誌掲載後三ヶ月程で単行本(人気作家)化されるが、本作の期間は普通ではあるものの、部数は超人気作家を除けば、通常の三倍だという。超人気作家でも三ヶ月後の部数は3000部程度である。(ハリー・ポッターや村上春樹のような物は、また更に別だが)
 彼に対するインタビューを読んだが、胸を張って「あァー、そー」といえる程の経験がないので「情けないですけど、ちょっと怖い。」と彼は正直にいう。
 もちろん、私も買うつもり。
 読後の風想文は又、次回。何しろ今日(3/1)書店に並んだので・・・ (つづく)
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by ihatobo | 2015-03-04 09:50