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「Waltz for Debby / Bill Evans Trio.」

 ロックスター・ピケティは、たった一冊で資本の世界への拡散は、逆に経済を委縮させ、人は我先に目先の金に目がいく、という批判を粉砕して見せている。
 一冊というのは彼の著作だが、それは実際の本だから、その実質は情報の寄せ集め、である。その寄せ集められた情報の重層が、フランスで昨秋売れ、ベストセラーとなった。つまり、彼が、その内容で批判している大金持ちに、彼は期待せずして成り上がっていたわけである。これほどの矛盾があるのだろうか。
 しかし、この本に述べられている各論は、すこぶる興味深く、私は章タイトル・小見出しをサッと見ただけだが、十分に興味深い。興味を追って遂一検証すべきだが、私は研究者ではない。それでも興味深いのが、何故分かるのかと言われれば前置きなしに、興味深そうだからと応えるしかない。ということは本書は、文芸作品として私の興味をそそるという事である。

 「マイ・フーリッシュ・ハート」(ビル・エバンス リムーサイドRLP 9399 1961年)が興味深いから、その別テイクが収録されている『ヴィレッジ・ハンガードのビル・エバンス全テイク』を手に入れて、聞く。みたいなものだ。私はエバンスに関しては研究者である。
 そうやって別テイクを聞くと各ポイントが、こうも やられるのか、そりゃそうだ。あーも やるか、そりゃそうだ、とアドリブのライン違うために(そりゃそうだ)。スコット・ラファロとポール・モーシャンのタイミングが、今度はハッキリ異なる。かといって、このバンドはトリオを組んでいるわけだから、彼がこっちへ行ったからこーなった、というのではない。その場のタイミングを各々が造り上げているのである。(フーッ)

 そう念頭に置いて聞いてみて欲しい。もう絶対、全然聞く度に違っている。
 どれがテーマで、どれがバリエーションで、どれがアドリブなのか分からなくなってくる。
 いやー、ジャズって永遠ッス。
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by ihatobo | 2015-02-27 10:37

『プレジデント3月号』とザーズ『PARIS――私のパリ』

 プレジデントが、霊長研の山極寿一と進化生物学の茂木健一郎の対談を巻頭にそえて、人間学?的な内容の特集を組んでいる。
 タイトルは「女の口紅はなぜ、赤いのか?」本来、経済誌である同誌が経済(社会科学)と女の口紅に何の関係があるのか、という事だが、執筆陣の各々の専門家のエッセーというカタチで、とても説得的な経済との関連が本来、霊長研→「人間学」→とくれば、人類学である。
 つまり、文化人類学と自然人類学は、昔と異なり、高次の結合を最近はしていて、“新人類学”になっている。
 「新人類」ではなく新・人類科学である。“新人類”はひと昔 以前にマスコミが、旧人類の理解が及ばない、という必要から造り出した呼称だが、それとは異なる。科学自体の必然が生んだ進化した科学である。とても分かりやすく興味深く読んだ。

 ところで2010年、私たちの店でなんと30枚を売った仏歌手ザーズが新譜を出したという。三枚目となる新作は、それはズバリ『パリ――私のパリ』。ジャズになっているそうである。当店にピッタシ♪
 また、売ります。
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by ihatobo | 2015-02-19 12:07

『恋愛論』(吉行淳之介 角川書店 1973年)とJOAO GILBERT(Verve 88年再発)

 洋はジュール・ミシュレ、和は吉行淳之介という事で、この大テーマは打ち止めにしよう。
 読んでいて思い当り、面白いが、どーも同じことの繰り返しである。実際の色恋沙汰と同じく、各々が異なるのだが、全てが各々に異なっている。で、ずっと続く。本書は、陶酔から始まり、あいびき、恋の正体へ、第二章はジュールの愛から始まり、平仮名おんなで終わる。
 さて、ピースの又吉さんが以前、店に来てくれていた。彼は最近、小説を書いた。(テレビ取材が来ると書きましたが、仕事の都合上、来店されませんでした。)
 芸人という技術者の仕事全般について、そして、それを知っている自分が、どう生活を盛り上げ人生を全うするか、という主人公のお噺だそうである。私も技術者だから、読んで参考にしたい。
 コーヒーを洩れる、その技術はあり、飲んでみて自分のコーヒーの味は知っているが、それが何だという問いはずっと続くのも知っているが…つづく。
 今回のBGMはジョアン・ジルベルトだろうか?寄せては返す波のように永遠に続き、しかも海の表面をどこまでも広がってゆく。ホサノバのように繰り返されてゆく。自分のやったものを批判するのは又喜の方法しかないのだ。お笑いは世の中の批判だし、それを批判するのは至難である。
 この主人公の、お噺を読んでみたい。早く。
 あと、トム・ジョビンの名作、WAVE もあるし。「波」
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by ihatobo | 2015-02-10 11:26

チック・コリアと桃の花『ソロ Vol.1.2』(ECM 1972年)

 植物の科・属分類ではバラ属梅科に種類される梅は、古来、中国では開花の順に梅→桜→バラと並び厳宴三友と称した。古来と並べたが、植物学が整備されるのは19世紀なので、そう言いながら渡しているのかもしれない。
 だが、国内で春を待ちながら過ごしていた私の生活圏では、茶山花を挟んで、この順に開花する。バラは夏・秋の二回、咲くのは知っているのだが厳宴三友には当たらないと減ずるが、同じ属である。
 さらに桃を加えれば、国内では桃が最後に開花する。太宰治がそう言ったわけではなく、私は桃の花が中で一番好ましいと思う。
 自宅の猫の鼻先の地面では、毎年、ようやく暖かくなって来る季節に紅白の桃の花がふんわりと開花する。そうなると、蜂がやってくるのだ。そして、蜂巣焼が私の年中行事である。楽しみでもあり、面倒でもある春が今年もやってくる。
 さて、その猫のヒタイ程の地面で生い茂るミントも採れる季節。定番メニューのチョコケーキに、ホイップ生クリームに香り漂うミントを乗せる人も毎度おなじみ、ささやかな御提供である。
 桃に合うのは、チック・コリアと桃の花『ソロ Vol.1.2』(ECM)だと思うが、どうだろう。
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by ihatobo | 2015-02-06 09:48

『愛』(ジュール・ミシュレ)と『バルバラ Chant バルバラ』(仏・フィリップス64年)

 恋をするのはいいが、そのあと愛がなくては恋も逆順して始まらん。
 というのがジュール・ミシュレそのもの、ズバリ『愛』(中公文庫 1858→1976-81年、役:森井真)――「愛」そのものではない男が、愛そのものである一人の女をいかに愛するか、という話である。
 本書あとがきに訳者が本書のメッセージを端的に書いているが、本書執筆の著者自身が、はじめに当たる「緒言」でもう少し長くなる本書の内容を適確に断っている。こちらは更に広く、ダイレクトに本書の内容をダイジェストしている。
 緒言を穴のあくまで読み、暗記してしまえばヒトを愛することが、できる、かも知れない。しかし、その端的、恋がやってこない限り・・・
 ミシュレは歴史家(『フランス革命史』)で有名だが、ここでもかの革命から『愛』『自由』『公平』をダイジェストしたのでも有名。彼はフランス人だから、伝統を重んでいる意味ではジョン・コルトーンだが、革命に軸を移すなら中国人だし、アルバート・アイラーだろう。
 しかし、一時の恋を支えるのが愛だとすれば、間を採ってウェイン・ショーターがバルバラを聴きながら暗記するのが、最適かもしれない。音量は小さめで。
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by ihatobo | 2015-02-04 08:58

『文藝春秋 2月号』

 恐らく社内か身近な方々の中で、概当する同年代(60代半ばから70代)を選び、アンケートか聞き取り取材をした結果を校正して原稿を造ったと考えられる談話が、ずらり35本並んでいる。
 私たちの兄もしくは、もう少し上の方々が、その青春~壮年時代を見聞した時代の実相が浮き出されていて共感しながら読んだ。親の兄や姉が、あの時に自満に語っていたことや失敗の原因などが各々に語られている。
 とにかく、勢いがあるのが分かる。失敗も就成達成も輝いている。いとおしい。
 要するに、憧れ、目標、希望のように<恋して>いれば、何がその対象であっても、何とか工夫してそれを手に取りたい、そういう風にヒトは出来ているのである。憧れや目標、希望と恋がなければ、墨を流されたような光景に囲まれてしまう(怖い)からだ。
 それもまた、慣れてくれば温かいのだが、それはマルマユである。この時期、風邪をひいてしまう。
 梅のつぼみもほころんでいる。恋だ、恋。
 伊集院 静の本を巡る旅日記も連載されている。
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by ihatobo | 2015-02-02 08:24