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『司馬遼太郎 の 幻想ロマン』 磯貝勝太郎

今回は新書を芋蔓式に三冊読んでいるうちに間が空いてしまった。
関連書、参考文献も魅惑的で、本ブログ開始以前の読み放し状態である。
 件名の司馬遼太郎の評伝は誠実な本で、気になるものの未読、
”積ン読”の方々には最適。
 この本を読んで司馬の作品に興味を持つ人が多いと思う。

 二冊目は先回触れた大澤真幸の『夢よりも深い覚醒へ』で、
去年の福島第一原発が引き起こした過酷事故と、現在でも原発推進派が
現存することの、倫理の無さ、「現実」への安直な回帰、馴れ合いの
根源的な考察が展開されている。
 先回も述べたように、私には当り前の主張、批判とその根拠が
本書には詰っている。

 三冊目は『「超」入門 失敗の本質』 鈴木博毅(ダイヤモンド者)
同書は84年初版の同社による6人の共著で、第二次世界大戦へ
至る我が国の社会情況の分析・解説書 の、今年になってから現在の
国内情況に対処するための要約、解説本である。
 私自身はここに述べられる領域に、実際に関わっている訳ではないが、
内容は大澤の本共々 店の現場で使えるフレーズが満載されている。
 詳しくはまた次回。

そして今回はタイトルに魅かれて読んだ『サウダージ』 盛田隆二
(角川文庫、2004年)が面白かった。
 サウダージ=ロンギング(郷愁、手の届かないもどかしさ)は、度々本ブログで
扱うコトバで、本作にも同様の読後感があった。
 巻頭辞は -そこにいない人と暮らすことを彼はよく夢みたものだ-
 やるせない。
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by ihatobo | 2012-06-29 01:31 | 本の紹介

『ミッドナイト・イン・パリ』ウディ・アレン

そういえばアメリカ映画は、具体的で分かり易く、何らかの"教え"が示唆されていた、と思った。

説教まで行かなくとも、いづれにしても映画は人生や世界観を提示している。そして、その結末の工夫によって、「どうぞご自由に」解釈はアナタのものです。という具合だった。

シドニー・べシエの「プレミア舞踏会」でオープニングする本作、拳を上げて「カッコイイ」とつぶやいたものの、映画の時間はあー、という間に通り過ぎて行った。

役者、音楽、シナリオ、エピソード、どれをとっても良い。工夫もひねりも利いている。

物語の舞台は1920年代、パリで、登場する有名人達も、さもありなんというシーンを造ってリアリティ、というよりはアクチュアルである。熱い。

しかし、その地になるストーリーが信じられない。主人公に説得力がない。

損はしない。が、こみ入っているというか、感動しないのだ。でした。
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by ihatobo | 2012-06-22 00:10

『夢よりも深い覚醒へ』大澤真幸

新聞書評で評判が良かったので気にしていた『なのはな』(萩尾望都 小学館 2012年)を読んだ。

コミクス、ファンタジー系の作品には開店以来関心を寄せて来たが、最近は魅力ある作品に当らない。

ニホン語では「核(分裂)」と「原子力(発電)」が、異う実体のように使われているが、英語はニュクリアで、どちらも「原子爆弾」になり得るエネルギーシステムである。

本書はそれを直に扱っているが、早急で余りにも未成熟な作品だと思った。

人が自然から「いいとこ取り」して来たことを私は知っている。しかし、知ったからには慎重にアトサキを考え分をわきまえなければならない。

"脱原発"に私は賛成の一票を投ずるが、私たちの店は遠の昔から節電である。夏は特にお客様には不評だが、静かに過ごす旨を店内に掲示して乗り切っている。

"大衆消費社会"にも乗らず、"物々交換"でやり過ごした。決して他人には推奨できない生活水準だが、私と私の家族、他に仕事を持ちながら店業務に励んでくれているスタッフ共々これで良し、としている。

余り明るくはないが、決して暗いわけではない。「ムシがいい」ことや者にはなりたくないからだ。

今回は同時に『夢よりも深い覚醒へ』(大澤真幸 岩波新書 2012年)も読んだ。
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by ihatobo | 2012-06-08 01:49 | 本の紹介