<   2011年 10月 ( 1 )   > この月の画像一覧

『美しいひと』西 加奈子と『あなたは誰?私はここにいる』姜 向中

西加奈子の新刊が出たところで、旧作が一勢に文庫化された。その中で『美しいひと』(04→幻冬舎)を読んだ。
 はなしはありそうななりゆきで進むのだが、冒頭の心理学の知見によるらしいキャラクターの設定が、そのシャド―というべきふたりの男性を登場させて、意外に平板なまま終わってしまう。
 キーワードは「自然」と「普通」なのだが、この場合「自然」は、とりあえず生老病死をかかえる身体だし、「普通」は自他に強要できるものではない。
 標語としては素直、元気、呑気で十分である。
とはいえ、ここで生み出された片方の男性が当店のスタッフに酷似していてウケた。

 さて、今週はもう一冊『あなたは誰?私はここにいる』(集英社新書)を没頭する程に読んだ。絵画の存在論を含むタイトルもさることながら、この方法で一貫する記述を私は知らない。
 彼の専攻は政治思想史だが、私の思う政治はこの世の社会の枠組みのメンテナンスだったから、その考えに肉を付けてくれたし、絵はこういう風に時間を越えてゆくのだ、ということも教えてくれた。
 こうした事実による美術批評はありがたい。
 前述した「呑気」はタフのことで、「扉を開き、壁を越えて」も私がここ(店)にいればいいのである。
 憂鬱だけれど元気に、素直にゆっくりやろうゼ・・・
 しかし、この二冊は美ノ論理を扱っていて、それでも読めます。
[PR]

by ihatobo | 2011-10-22 17:51