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2010年7月

 今月は新譜にいいものが多い。
 前回触れた近藤房之助『1968』がいい。
 時節柄「ユルサ」をブルーズに期待する人々がいるのを私は知っているが、「ブルーズは男がひとり生きて(死んで)ゆくための型式だ」という、寂寥感をこの作品も漂わせている。マチュアやアダルトという形容詞はそうした作品への捧げものであって、ブルーズメンたちの陽気さ、慎ましさ、誇り、といった彼らの人格/生をそれは形容していない。
 彼らの人格/生はむしろ壊れている(笑) 近藤も含め歌い手たちは歌や音楽そのものと人格/生を取り代えることでしか成り立たない、救いようのない人々である。
 ⑥のジュニア・ウェルズ曲が“ゴー・ゴー”に仕立てられていて、気持ち良い。リトル・バイ・リトルが英語だが、少し掛ける少し、つまり、リトル×リトルであれば限りなく微小である。それがゴー・ゴーに仕立てられていて、笑える。
 その近藤のタイトル、1968年といえば、事実はそれより3~4年あと、ジャニス、ジミ・ヘンドリクス、アルバート・アイラーたちが新作を出していた時期に、私は昼はジャズ専門誌で働き、夜はジャズ喫茶やいまでいうカフェでバイトしていた。
 休憩というか職場の間の移動のための一時間余りを挟んで、一日15時間を職場で過ごした。その間、音楽が途切れることがなかったわけで、前記ミュージシャンを始め、“フォーク”歌謡曲とクラシックまで、どの手法で表現された音楽でも聴いていた。
 昼は試聴用のテープ・盤、夜は盤の他、有線、ジューク・ボックスのEP盤が音源である。
 その頃聴いていたのがフランソワーズ・アルディ『もう森には行かない』で、例のゲインズブール『アムール、モナムール』も同じ頃である。
 そのフランソワーズの6年振りの新作がいい。前作はロック仕立てだったので辛く、すぐに売ったが、もう6年作品を出していなかったのかと・・・。
 バンドはアラン・ルプランが造っているとのことだが、柔らかく、オーソドックスで彼女の律義さを想った。
 アラビックなアルチュール曲⑬から①NOIR SUR BLANCへ戻して聴いている。本ブログで何回もいっているが、10年夏の陽光の下に「獰猛な欲望」がくっきりと姿を現わしている。
 仏語が分からないが、余白の、なのか、白人のなのか、そのなかの暗さ、夜、黒人という風に辞書には載っている。
 フランソワーズの声は相変わらずに芯のある、というか洞穴というか、それを包んでよく響いている。
 あと寺尾紗穂の『残照』『放送禁止歌』。
 店では流さないが売れている。彼女のやはり声が、私のお気に入りだ。遠く岡林信康が反響する①がいい。
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by ihatobo | 2010-07-16 22:45 | CDの紹介