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手に負えない本 #4

小倉孝誠『パリとセーヌ川』(中公新書)を読んだ。この本は19世紀の小説に描かれているセーヌ川にまつわる記述を扱って急激に近代化されてゆくパリを辿りながら、そこを舞台にくり広げられる人々の物語を紹介し、更にその都市の地政学としても読める論述集である。丁度最近気になっていた永井荷風を読んでいたので、その『すみだ川』(新潮文庫版1907→1952)を小倉の論考に沿って読んでみた。

鉄道が創設される以前の川の役割は、海運における物資の流通を担っており、時に内陸の都市パリでは、その時代川は流通の要として、社会の要請を受けて人々の関心を集めた。しかし、本来川は此岸と彼岸を別ける「自然」であるために、時代が進むに連れて、それを渡るための橋と、沿岸の諸施設が構築されて、工学を始めとする時代の技術、文化がそこに集中した。それらの歴史的な変遷に基づいて、小倉は専門である文学作品を引きながらその役割について論考を進めている。

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by ihatobo | 2008-08-19 12:27 | 本の紹介