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『モノローグ』(平野啓一郎 講談社 07年)

作家が次の作品へ向かう時に、それまでの自作のことや、その過程で生まれた作品群にひと区切りをつけて、それを自前の踏み台にするのは、ごく自然ななりゆきだ、と私は考えている。
その作業によって自らが撰んだコトバが、同じコトバでも別の面が現れたり、そのコトバのすぐ近くに似たようなコトバが隠れているのを発見できるからだ。
平野は『ボルヘスと「現在」』で、「その作品がどういう意味を持っているのかを極めて具体的に考える必要がある」と述べる。
そのボルヘスこそが「読むという行為の創造性を強調した」のだ、と。
その他にも数々の道具としてのコトバが本書に溢れている。
だが、平野は「不死の人」に触れて「まぁ、医学的な根拠はないと思いますが、」と書いて、著者を揶揄しているが、ボルヘスの文学には当たらない、と私は批判しておく。
とりあえず、ポルトガルのファドの常套句、「いのちよ、私にも参加させて下さい」である。
その文脈でいのちは継がれてゆくのであって、実際の私は単に「かけ橋」なのだから。
つまり「死」の無限の反復の成果「成仏」を空海は説く。

だが、しかし、「モダニスト」空海にあって、戦死、深刻な病、事故死などは、どこに組み込まれているのだろうか?そこも熟読したいところだ。

次回はフランスで人気爆発の谷口ジローの『歩く人』を読むことにする。
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by ihatobo | 2014-09-03 21:06 | 新刊紹介