『人はどうして老いるのか』(日高 敏隆 朝日文庫 1995→17年)

 近頃は、初夏らしく、だいぶ暖かくなってきたが、夕方になって陽が落ちると寒い。朝晩は涼しくなったという夏の終わり、秋口の挨拶ではなく、むしろ夏の夕方のようだ。ときおり夕立もあるし、陽の名残りが漂っていて湿っている。
 こうした天候不順に、年寄りは弱い。父もそうだったが、今度は私自身が調子を崩した。加齢に従って様々な支障が出るらしいが、これも“老い”のバリエーションだと思って静観している。そうした“老い”に関して、バリエーションがあり過ぎて、総合的なものがない、と探していたら、ちょうど本書が出た。
 エッセーとはいえ自然科学者の記述だから、先ず“老い”の定義から始めるのだが、いわば、それはそれで一冊が終わってしまう。そのためか、鶴見俊輔、大江健三郎を始め、上野千鶴子、松原寿輝と類書は多い。

 本書は冒頭の「人はどうして老いるのか」から始まり、“加齢”と“老い”の異いから説き始め、種族維持のため必然であること、そしてドーキンスの利己的遺伝子説を踏み台に、個体がやりたいようにやる、つまり総合判断が一番といって、先へ進む。
 私はその件を、自然のままに加齢に従い、やがて自然のままに死を迎えられるのが一番。という風に理解した。更に内容は、より豊かになってゆくので、また、その2で紹介します。

 さて、近所で巣造り、子育て中のツグミの両親が、その後どうなったかというと、気づいて観察し始めてから、ちょうど1ヶ月の先週末に、子たちは巣だったらしい。食事の際の騒ぎが、なくなった。
 巣立ち、旅たちは、やはり淋しいものであるが、それは人間のことだ、と本書は教えている。
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by ihatobo | 2017-06-02 08:13