『夜想曲』(カズオ・イシグロ 早川Epi文庫)その2
さて冒頭は、チェコからベネチアへやって来た、アルト吹きを迎えるギタリストが、活躍する「老歌手」の話。
前回の本書のタイトル作「夜想曲」にしてもネルソン・リドルが出演するそばに、ウェイン・ショーターが登場するという具合。それらに通底しているのが、「俺は、まだ透明人間だ」という匿名性の問いや、スター性をめぐる美学的な問題提起。
そして更に、事実には敢然と向き合わねばならないという、倫理も扱われる。
いやー、さすがノーベル賞を取ったと思った。テーマがデカイ。(つづく)
by ihatobo | 2017-12-02 20:49