『新版 動的平衡』(福岡伸一 2009→17年 小学館新書)

 本書は、2009年に講談社 現代新書として公刊されたものに、加筆・修正した増補新装版。前著の際も紹介したが、今回は増補の分(第9章)で、数学の知見を使ったモデル(理論)を提出している。

 彼がTV番組に出演しているのを偶然観ていたので、この章から読んだ。番組は坂本龍一との対話形式で進行しており、観ている時は良く理解できたのだが、それをいざ知人に伝えようとすると、用語になり各章の順序など曖昧で、語りきれなかった。

 「そのうち出版されるだろう」ということで話は途切れたのだったが、対話の時点で、この部分はカタチになっていたのだろう。本書成立のプロセスは、あとがきに詳しい。それにしても、実に壮大な時刻を詰め込んだ内容を持つ科学の書である。その科学の事実が集積されている。

 その集積のひとつひとつを継いでいって、つまり、解釈することで終わらない。何故かというと本書後半に述べられているように、生命は「自転車操業的」に生命を維持してきたのであって、細胞を造る(生成)するそばから、壊してきたからである。


 著者は、それを本書タイトル「動的平衡」と記している。日常語でいえば「変わってゆく同じもの」である。先の大隅良典さんのオートファジー(自食行動)についても、大変わかりやすく述べられている。

 ぜひ手に取って、本書の数理モデルを眺めて欲しい。


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by ihatobo | 2017-07-21 09:14