『ヒロシマ 私の恋人』その2

 恋愛映画、いわゆるラブ・ロマンスでは、行き別れた恋人を訪ねて、遠い外国へ旅立つ女性といった物語があるが、本作は戦死した恋人を想いながら、仕事で赴いた異国で、行きずりの男性と恋に落ちる。何と不貞淑な女だ、と反発するのも分かるのだが、何よりも強い恋の勢いを、作家が訴えたかったのも分かる。
 『ドクトル・ジバゴ』のように愛する妻がいないながら、旧知の女性と巡り合ってしまう場合もある。デュラスの物語がユニークなのは、冒頭に記されるように、互いの誠実がスレ違っていながら、男と女ではなく、互いの人間としての魅惑が、素直に強調されていることにある、と私は思う。

 その1で触れたように、それはテキストの最終部分に端的に記されている。どこの国の人間でも互いに見つめ合うための価値観は共通しているのだ。その事情が、本書にも映画にもある緊張した静けさを、与えている。

 映画の方も、観てみて下さい。白黒映像が美しいです。






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by ihatobo | 2017-06-24 09:01