『写真の時代』(富岡多恵子 ちくま叢書 1979年)

 本書は、友人の写真家に教えてもらい、読んで放っておいたもので、比較的、読んでいた作家のエッセー集。
 もともとは「カメラ毎日」に連載されていた時評で、それを編んだものが79年に毎日新聞から刊行された(連載開始は70年)。「丘に向かって並ぶ人々」他、何冊かの小説を読んでいた私は、写真家が富岡の名を出した時に、反応したのだと思う。前後は、よく覚えていない。

 今回、再読して分かったのは、私はその写真家にインタビューを申込み、写真についての何か本を教えて欲しいと頼んだのだった。だが、今回読んで驚いたのは、時評をはるかに超えた、写真の定義とも呼べる文の群れであった事である。
 道具であるカメラの構造、その「キカイ」性、つまり「自立性」から始まって、「写される側の表現と論理」といったコトバで、近代芸術にまで及ぶ論考が綴られている。

 ダイジェストを読みたい、ということならば著者自身による、あとがきが本書の充分な解説となっている(叢書版)ので、そちらを読めばいいが、14章からなる各々は大変滋味深く、ぜひ本文を読んでほしいと思う。
 件の写真家は高橋恭司だが、収録済みのインタビューには、本書とも重なる彼の発言が随所に、ちりばめられている。本のカタチに、ならないものだろうか。
[PR]

by ihatobo | 2017-06-08 08:30