『音を視る、時を聴く』(大森荘蔵/坂本龍一 朝日出版社 1982年)

 哲学者と音楽家の対論ということで、幾分ビビるが、要は両者とも技術者なわけだから、両者の技術をもって互いに通ずるところを探る、というのが本書の基本的な性格である。哲学は数々の術語を組み合わせ、学者なりの体系を造るのだし、音楽家は無限にある音を楽器や声によって組み合わせ、ある楽曲を造る。
 ただ異なるのは、私たちが接するときに、哲学に対しては、ある程度の知識は必要だし、音楽は耳の記憶を呼び戻して聴く、というところだが、両者ともに第一線の専門家なので、しっかり自分の能力を全開にしないと、対論に入り込めない。

 読んでみると分かるが、能力を全開にしても及ばない。入り込むどころではない。しかし、私にはあった方が良い本と感じられた。それでも、どこかで音楽家は、あれ(対論)は失敗だった、といっていたが意味のある本であることは間違いない。
 いずれにしても、挑戦してみる価値のある本である。どこかで是非。
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by ihatobo | 2016-11-25 11:53