『川端康成 三島由紀夫 往復書簡』(新潮社 1997年)

 三島は在学中に、川端に私淑していたらしく、自分の書いた物を送って批評を求めたり、川端の書いたものを読んだ感想文を送っていたらしい。それが、ここに収められている。一番早い日付が1945年3月、敗戦の年、三島在学中の20歳の時のことである。
 彼らは、ほぼ生涯にわたる盟友関係を作り出した、その時々の内情が、ここに叶露されている。それは、そのはずで、両者共に作家の(孤立)に耐えて仕事をしていたわけだから、文の不備、不満から始まり、自己の才能の確信を得たいがために、熱く語り合ったのだ。

 現在のような文の伝達ではなく手段は郵送か持参しかないから、時間も掛かり文にするには言い難いことあり、その制約が余計この書簡集に熱を与えている。
 本書の扉に、川端が賞を受けた翌日に、三島が川端を訪ねた際の写真があるが、仲の良い親子のような師弟関係が、よく分かるショットである。

 「恐るべき計画家・三島由紀夫」も(本書のはじめにを書いた佐伯と、川端香男里の対談)収録。他にノーベル文学賞への推薦文(三島由紀夫)、略年譜も併録されている。
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by ihatobo | 2016-06-07 10:23