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『ぼくらの民主主義なんだぜ』(高橋源一郎 朝日新書)

 「社会の状況への発信は好きじゃない」という文人は多い。とはいうものの、そうした彼らが、あえて直截(ちょくさい)なものいいで、各人が発信することが多くなった。
 世界の現在が荒廃しているのだ。ストレートなものいいは、分かり易く心が動くからだ。そのなかで、本書から教わったコトバは、「哲学的」であると同時に「エモーショナルな問いかけ」がなければならない、ということだ。

 本書は、その意味で11年から朝日新聞の「論壇時評」コーナーに連載された文を集めて上梓された。私が「おっ」と思ったのは、それこそ直截なタイトルで、これはモダーン・ジャズのプロデューサーでもあったナット・ヘントフの小説『ぼくらの民主主義なんだぜ』から採った、という。
 ナット・ヘントフはデビュー・レーベルに集まるミュージシャンを中心にレコードを製作(ディレクション)し、ライナー・ノーツも担当したジャズ人で、彼の仕事は日本でも熱心な支持を集めた。評論集も出している。(晶文社)

 次回は、彼が主催したレーベル・キャンディッドのアルバムを紹介しようと思う。

by ihatobo | 2016-03-01 17:01