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『本暮荘物語』(三浦しをん 祥伝社文庫 10月 新刊)

 代表するふたつの文学賞作品だから、売れて当たり前なのは奥付が物語っている。
 それを、今さら紹介するまでもないが、すぐに手に入れて読む習慣のない私であるから仕方ない。
 へそ曲りというのだろう。
 ただ偶然が重なれば、そういう年もある。今はふたつの賞が、共に年に二回だからトータルに振り返れば、三年に一度くらいは作品を読んでいることになるが、新刊の点数が多すぎて三年に一作というのも私の新しい習慣には、今後ならないだろう。
 本書は12年発刊だから、二年余り頭抜けて早い。作品の骨格は『船を編む』と同じ、登場人物も年齢も職業も性別も多採も同じである。加えて、設定も『船を編む』を就踏している。
 楽しみなシリーズになりそう。
 瀕死の老人が、望むものの「本質」が「人の不思議」というのも。今度は、春から読んでいる物語が、私のなかでシリーズ化しているのも「不思議」である。
 さらに本文庫には、「本暮荘に寄せられた声」という三人の寄稿がまとめて読めるので、より物語は奥行きを深める。
 とにかく、面白い。オススメです。

by ihatobo | 2014-10-17 22:11