『父・こんなこと』(幸田 文 新潮文庫55年)
元々、モーダン・エイジの女性による作品に興味を持ったのは、その「近代」社会に、日々、日常(衣・食・住)をどのように彼女たちが対処したのかを、うかがい、知りたかったからだ。
それは終始できなかった私自身の母親の日々、日常を探りたかったからでもある。
父(露件)を仰ぎみて育った著者とは、色合いは異なるものの、その視界は同じであった。
その「隔り」が倒れ、ふせっている。行を追うには「勇気」がいる。「幼い恐怖」で押し切らねばならない。
著者はこの年、短編・長編を書き上げ、作家としてデビューする。
by ihatobo | 2014-02-21 19:47