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韓国の友人とKURAGARI展


 先日、韓国の友人が来店した。久し振りで、7~8年逢っていない。その間、一回だけ電話で話したがその時も「バイトして」だった。というのも、その7~8年以前に、彼は「下北沢の紹介MAPを作ってソウルで出版したい」といって私の店を訪ねてきたのだ。その時によく分る会話があり、私はシフトも考えずに「バイトしない?」と申し出た。
 お客様のカオを覚えない私は、今回も初め彼だとは気づかなかった。注文の品が、テーブルに運ばれてから暫くすると私は名を呼ばれた。
 声の質やリズム、間合いなどには敏感である。(ありゃ、この声は知ってると思い頭が回り始めた。)
 彼はソウルにいる間、ギャラリーをやっていて、現在はフリーのキュレイターで、展示やイベントを作っている。翻訳(ハングル⇔英語)もやっているらしい。そのギャラリーのパンフレット、DMなどを今回見せてもらったが、アレッと思う作品があり、話をしているうちに、彼は韓国のモダニズムの源流に興味を持っていることが分り、それならば私とて同じである。話は「近代」を焦点として盛り上がったのだった。
 私は彼が作った展示の中のある作品に魅かれ、丁度田附勝のKURAGARI展が六本木で始まる日だったので、彼の写真集を見せた。『デコトラ』『東北』と見せたのだが、ヒョンは『デコトラ』に激しく反応し、私は田附を彼に紹介することになった。
 しかし、聞いてみると、ギャラリーも作家の経済も、写真という装置、喫茶店も共に「近代」である。厄介である。
 この『デコトラ』には当時私も激しく反応し、発表記念パーティーにも出かけた。その時の楽しさ、気持ち良さも紹介したいところだが、今回はそのデコトラ(デコレイション・トラック)のそもそもを、私なりに述べておきたい。
 彼らは運送業者である。そして、仕事柄迅速、確実が仕事の評価である。
 しかし、時に無茶な依頼もあり、来た仕事をこなす為に、能力を超えて事故を起こす事がある。そうしたアクシデントを忘れない為に、記念を車内に飾った。加えて、他業者へ威信を示す意図で外壁をペイント、電飾した。それが私たちの店の掲示物と同じだ、と私は感じたのだ。
 そのトーク・イベントで朴訥と語る彼らの慎ましさと力強さに私は痛く感動した。
 そんな話もヒョン君に語ったのでした。

by ihatobo | 2013-08-10 18:10