『貧乏神と福の神』(水木しげる 10年、集英社)
水木しげるは、私たちの先行世代で、既に大家としての地位を確立していたが、いま読んでみると新しい。
不可解や不思議を「棚に上げて」、思うことと事実の間をフィード・バックしながら、私たちの日常は進行している。
しかし、時に、その不可解や不思議がその日常に姿を現して私たちを驚かす。
親や先輩たちが「迷信」のコトバを使って、繰り返し否定していた“現象”の驚きはこの妖怪の仕業だった。
つまり、それは近代の物言いである。
モダニストである水木の作品がもたらす驚きはやはり“永遠”である。
by ihatobo | 2013-06-25 05:49 | 本の紹介