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『司馬遼太郎 の 幻想ロマン』 磯貝勝太郎

今回は新書を芋蔓式に三冊読んでいるうちに間が空いてしまった。
関連書、参考文献も魅惑的で、本ブログ開始以前の読み放し状態である。
 件名の司馬遼太郎の評伝は誠実な本で、気になるものの未読、
”積ン読”の方々には最適。
 この本を読んで司馬の作品に興味を持つ人が多いと思う。

 二冊目は先回触れた大澤真幸の『夢よりも深い覚醒へ』で、
去年の福島第一原発が引き起こした過酷事故と、現在でも原発推進派が
現存することの、倫理の無さ、「現実」への安直な回帰、馴れ合いの
根源的な考察が展開されている。
 先回も述べたように、私には当り前の主張、批判とその根拠が
本書には詰っている。

 三冊目は『「超」入門 失敗の本質』 鈴木博毅(ダイヤモンド者)
同書は84年初版の同社による6人の共著で、第二次世界大戦へ
至る我が国の社会情況の分析・解説書 の、今年になってから現在の
国内情況に対処するための要約、解説本である。
 私自身はここに述べられる領域に、実際に関わっている訳ではないが、
内容は大澤の本共々 店の現場で使えるフレーズが満載されている。
 詳しくはまた次回。

そして今回はタイトルに魅かれて読んだ『サウダージ』 盛田隆二
(角川文庫、2004年)が面白かった。
 サウダージ=ロンギング(郷愁、手の届かないもどかしさ)は、度々本ブログで
扱うコトバで、本作にも同様の読後感があった。
 巻頭辞は -そこにいない人と暮らすことを彼はよく夢みたものだ-
 やるせない。

by ihatobo | 2012-06-29 01:31 | 本の紹介