お知らせ

 本ブログを、ご覧の皆様。
 今更になって、報告が遅れてしまい申し訳ありません。

 当店の店主が、インフルエンザにかかってしまい、ここ数日、通常営業が出来ない状況になっております。そのため、しばらくの間は夕方~、あるいは一日休業という日が続く場合がございます。
 現在、店主は回復傾向に向かっており、少しずつイーハに出るようになっています。

 店主が完全復活するまでの間、皆様どうか暖かな心でお待ちくださいませ。
 今後とも、本ブログとイーハトーボを宜しくお願い致します。

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# by ihatobo | 2018-02-19 19:49

『幻滅と別れ話だけで終わらない ライフストーリーの紡ぎ方』(北山修 吉本ばなな 朝日出版社 2012年)

 この長いタイトルに嫌気を感じながら読んだが、あとがきにこの二人自身が北山は嫌だ、吉本は馴染まない、と話し合っている。分らなくもないし、名前をめぐる違和感は誰しも感ずるが、二人とも表現者らしく、自分というものに誠実だ、と私は思った。

 本書は精神分析医である北山が、まず学生にするように講義を行い、吉本がそれに質問し応答する、というカタチで構成されている。途中理(工)系の北山らしく、同類のサン・テグシュペリ(「星の王子様」で有名)の文「愛することは、お互いに顔を見せあうことではなくて、一緒に同じ方向を見ることだ」を紹介している。

 彼は精神分析医なので、それを「共視」という用語を使って解説している。と同時に、分析家は患者が彼の「内側」で見たり聞いたりしたことを、分析家の前や人前で披露するものだから、分析家はたくさんの物語、絵、シーンなどをストックしている。

 そのなかで、前述で「一緒に同じ方向を見ること」というシーンを、小津映画『東京物語』の中に見つけ、同時に示してもいる。

 そして、それを紹介していたのが批評家、小説、学者など多面な顔を持つ連見重彦で丁度、彼の『伯爵夫人』(新潮社 2016年 三島由紀夫賞)を読んでいたので、互いにあい通ずるものがあり、次回、詳しくお伝えしたい。

 様々な知性があるものだ、ということが分かると思うので。


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# by ihatobo | 2018-02-09 15:07

『サキ短編集』(訳・中村能三 新潮文庫1904→58年)

 年末年始に、新刊文庫本の市場が狭くなっていることを、新聞記事を引きながら紹介したが、そういう場合、本ブログは過去の評価が定まった作品に行き着くことにしている。

本書は私が学生の時分、友人たちとサテンでダベっている時に、時折、名前が出た作家による短編集『夜想曲集』を求めて、「宵闇」から読んだ。最近のカテゴリー分けでいえばミステリー小説で、面白いと言えばそれまでで、人間の闇を追求する恐怖小説なのだ、と思った。

訳者のあとがきによると、「彼(サキ)の性格」の伝記を書いた妹の記述を引いて「気紛れ、ユーモアのセンス、動物に対する愛情、スコットランド高地人であるという誇り、金銭に対する無関心」を挙げ、更に訳者はTC・スクエアという私に未知の文芸批評家の「人の心を凍らせる」「突き放した、救いのない」と述べていることに同意している。

 要するに「非情、ユーモア、諷刺」だと、サキを評している。

 しかし、そうした頑迷な文学者は今も昔もいるのであって、サキに限らないが実際に行間から、頑迷としか言いようのない文学者の矜持が伝わって来る。

 逆に文学は、そこまで戻った方が良いのかも知れない、と思った。サキは本書の作者の筆名でイランの天文、数学、哲学、詩人のオマル・カイヤムの詩「ルバイアート」から取ったそうである。

 その学生の時分、男女問わず、サキの名はよく使われていた。


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# by ihatobo | 2018-02-02 10:06